ハリウッド式小説創作

作者の勝手な都合はNG

ハリウッド映画とフランス映画は大きな違いがあります。例えば恋愛映画にしても、フランス映画では、いきなり男女が出会って、言葉も交わさないうちから恋に落ち、戯れの時間を過ごしたあとに突然別れる、といった作品も多くあります。けれどこうした「説明のない」物語が、美しい場面や俳優の独特のリズムで進み、独自の世界をつくっているわけです。けれどハリウッド映画では、登場人物の性格もはっきり説明がなされ、あるいは行動から性格が明確に分かるようになっており、2人は必然的に出会います。そして魅かれあうにもそれぞれの性格を生かした理由がつけられ、結論も矛盾なく導かれます。有名な女優と一般人が恋愛に落ちる「ノッテングヒルの恋人」でも、ヒーローとヒロインは偶然出会ったように見えて、実は女優であるヒロインがいてもおかしくない、撮影によく使われる場所でヒーローは古本屋を経営しているという設定になっています。撮影地の本屋だから、女優が来店してもおかしくないわけです。また、ヒーローはいわゆる癒し系で、有名な女優が来店してもサインをねだるようなミーハーさはありません。ヒロインは女優業に疲れ果てていましたから、自分を特別扱いしない彼に強くひかれるようになるのです。こうしたヒーローの性格設定も、出会いの場に居合わせた他の客がサインをねだるシーンを撮ることで、表現しています。ハリウッド式もフランス式もそれぞれにファンがいますが、小説創作に作者の勝手な都合はNGで、ハリウッド式のように矛盾なく、読者を納得させながら書かなくてはいけません。フランス映画は小説ではなく、ジャンルで言うとポエムのようなものです。